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弁護士日記

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たるんでいないか検察庁

2019年11月13日

 最近、護送中の被告人が、護送を担当している検察事務官の隙を狙って逃走するという事件が続いている。
 岸和田事件の方は、野口被告が、大阪地検の岸和田支部の前に止めてあった車に、何か忘れ物をしたという理由で、車に戻り、その車に乗り込んだまま逃走したという不祥事である。この事件の場合、複数の男性の検察事務官が車の周囲を囲んでいた。しかし、被告人が車に入ることを許してしまったため、被告人の長男が運転する車で、まんまと逃走されてしまった。
 ここで、なぜ忘れ物を取りに行くことを許したのか、仮にその点は認められるとしても、車の運転席には被告人の長男が乗っていたのであるから、担当の検察事務官としても、万が一車で逃走されないよう、車のキーを一時的に預かるなどして、万全の防止策を講じておくべきではなかったのかという疑問が湧く。仮に、検察事務官が、「まさかそんなことは起きないだろう」と油断をしていたとしたら、考え方が実に甘いというほかない。
 なお、この件で、大阪地裁岸和田支部は、11月15日付けで保釈保証金300万円のうち、200万円の没収を決定したという。ここで感じたのは、なぜ300万円の没収を決めなかったのかという疑問である。
 この事件では、観察事務官のうち、一人は車に跳ね飛ばされて路上に倒れているのであるから、逃げた被告の罪状は悪質である。私は、当然保釈保証金300万円全額の没収となるものと予想していただけに、驚いた。
 この岸和田支部の裁判官は、新聞報道によれば、今回問題を起こした被告の保釈を認めた人物であるかのような報道がされている。仮に事実だとしたら、この裁判官にも問題がある。現に罪を犯した悪人の人権よりも、善人ないし一般国民の人権の方を重視する考え方を学ぶべきである。
 次に、東大阪市内で護送中の車から逃走した大植被告の事件についても、担当した検察事務官のミスが認められる。大植被告を載せたワゴン車は、いわゆる護送車ではなく、地検の公用車であり、普通のワゴン車であったらしい。しかも、当時、内部からドアロックをしていなかったという。
 大植被告が、車の中で「手錠がきついので」と言ったため、後部座席に同乗していた検察事務官が手錠の片側を外したときに、大植被告は車内で暴れ始め、混乱の隙をついて車外に出ることに成功し、そのまま逃走したという。
 幸いにも2日後に身柄が確保されたから良かったものの、仮に無関係の子供や女性を人質にとっていたらと想像すると、寒気がする。「あってはならない不祥事」と言うほかない。
 どうも、最近、検察庁の気の緩みから生じた事件が増えているように思う。検察庁の事務官は、日頃から、剣道、柔道又は逮捕術の訓練を定期的に行っているのであろうか?おそらく一部の例外を除き、行っていないのではなかろうか。であれば、気の緩みを原因とする緊急事態が万が一にも起きないよう研修を行い、さらに緊急時に備えたマニュアルを作成し、定期的に予行訓練を行っておくべきである。

日時:19:43|この記事のページ

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