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弁護士日記

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災害は忘れた頃にやってくる

2021年03月12日

 昨日、3月11日は、2011年3.11津波から10年を経過した節目の年であった。
 私も、10年前の大地震のことはよく覚えている。当時は、名古屋市内に法律事務所を構えていたが、ちょうど東日本大地震が起こったときは、相談者の方と電話中であった。突然、ビルがミシミシと不気味な音を立てて揺れたので、「これはただ事ではない。一体どこで地震が起きたのか?」と不安になった。それが、あの大惨事を告げる揺れであったのである。
 東日本大地震の場合、おまけに、東京電力の発電所が津波にやられ、建屋が遂には水素爆発を起こし、大惨事につながった。仮に東京電力の当時の社長が、もう少し津波に対する警戒心の強い人物であれば、念には念をいれて津波対策をしていたのではなかろうか。
 しかし、テレビ等の報道でも明らかになったとおり、当時の東電幹部は、そのような営業利益につながらないような防災対策にお金をつぎ込むのは嫌だったようである。当時の東電幹部は、実に不見識な人間の集団というか、甘い認識しか持ち合わせない傲慢な人物の集まりであったというほかない。ただ、いくら「原発事故さえなければ」、と思っても、事故が起きてしまってからでは、もはや遅いのである。
 さて、今後、20年以内に、東海・南海地震がほぼ間違いなく起こるという予測が地震の専門家から出ている。この東海・南海地震は、東日本大地震よりも威力が大きいとも聞く。仮に発生したら、ものすごい惨事となろう。正確には、太平洋側の東海地方を中心に、大惨事は間違いなく起こるのである。
 自分が住む岐阜市は、内陸部に位置するため、津波の被害はほとんど考える必要はないであろう。しかし、一番怖いのは、揺れである。時々起こる普通の地震とは、全く比較にならないくらいの大きな揺れが想定されるのである。
 ここで、覚悟しなければならない点は、耐震強度が不十分な、おおよそ築40年~50年を超えた建物は倒壊するか、あるいは重要部分が破壊されて、使い物にならなくなるということである。市内には、古い鉄筋コンクリート造の建物も極めて多くあり、また、現に使用されているが、いったん大地震が起これば、使用不可能に陥るということを、今から想定しておくべきである。
 ちなみに、今時、エアコンの室外機を建物の外部壁面に多数設置しているコンクリート作りの建物など、滅多にお目にかかることはないが、このような建物は、まさに「危ない建物」の見本というべきであろう(施設運営者の意識の低さが分かる)。仮に外壁にしっかりと固定されていないエアコンが地面に落下し、運悪く真下の公道上を歩行していた人間(被害者)に衝突した場合、通常は、死亡または重傷(重い後遺症が残る程度の怪我)を負うことは間違いない。この場合、施設の管理責任者には、刑法上の責任(業務上過失致死傷。5年以下の懲役・禁錮または100万円以下の罰金)および民法上の損害賠償責任(民法717条)が発生することになる。事前に十分な注意を払わなかったため、東京電力の元経営陣と同じく、深刻な法的トラブルに巻き込まれることになるのである。 
 現に人が居住し、あるいはいろいろな事業や商売に使用中の古い建物は、いったん大地震が起きれば、もやは使用不可能となる。つまり、事業・商売自体が成り立たなくなり、その時点で廃業を覚悟する必要があるということである。
 しかし、ほとんどの人は、そのような「嫌な事」は考えたくないし、普段は考えることもないであろう。仮に古い建物が倒壊することなく立っていたとしても、屋根、天井、壁、床、設備機器などに深刻な被害が生じることを免れない。
 しかし、そのような緊急時には、修理・修繕を業者に依頼したくても、業者としても、通常の10倍、20倍、30倍の要請に対応できるはずもなく、結局、順番待ちということになる。そうすると、順番が回ってきて修理・修繕をしてもらえるのは、地震が起きた時から2年後、3年後ということになりかねないのである。だが、普通は、その時期まで事業が持ちこたえることができるはずがない。とうの昔に倒産しているということである。
 このようにいろいろと考えた場合、できる限りの耐震工事(耐震補強)を行うべきである。資金の余裕があれば、十分な耐震性能を備えた建物に移転するか、あるいは自前で建物を新築ないし改築してしまうことである。最新の耐震性を備えた新しい建物であれば、建物自体の被害は比較的軽微で済むはずであり、いち早く経済の回復気流に乗って元通りの利益をあげることが可能となる。このあたりが、いわゆる経営感覚(センス)がある人物か否かの違いである。
 折から、岐阜市内にある岐阜県庁も建物が老朽化したため、現在、県庁舎の東に新しい岐阜県庁舎が建設中である。仮に古い庁舎のままであったら、来るべき大地震に耐えることが可能であったか否かは分かったものではなく、県庁舎の建替えは、合理的な判断ということができる。
 なお、岐阜市役所の市庁舎も、まもなく完成するようである。今までの老朽化した古い市庁舎は、本当に酷い状況にあり、廃墟寸前であった。用事があって市役所の本庁舎を訪問したときなど、天井が低く、狭くて暗い、限りなくグレーな状況のスペースの中で公務に従事する職員の姿を見ていると、「ご苦労さん」と感じることが多々あった。仮に大地震が来ていたら、ただでは済まなかったであろう。
 間もなく、新しい新庁舎が完成する。岐阜市職員にとっては、ようやく人間らしい生活を送ることが可能となり、まずは目出度いことと言えよう。

日時:21:42|この記事のページ

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