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弁護士日記

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法科大学院と最近の弁護士の質について

2011年08月23日

 法科大学院の卒業生を対象とした新司法試験は、平成18年に始まった。新司法試験については、当初からいろいろと問題点があることが指摘されていた。
そもそも、法科大学院と新司法試験という制度ができた理由は、表向きには、いろいろな社会経験を経た多くの多様な人材を法曹界に送り出すということであったようである。
 しかし、新司法試験は、国民の権利義務を左右しかねない法曹という重要な職業に参入する資格を問うものである以上、合格者は一定のレベルを備えていなければならないことは当然である。ところで、当時の法科大学院を推進する立場の人々の意見の中には、法曹界にも競争原理を導入して、ダメな弁護士を淘汰する仕組みを作ることに賛成する論者が多かった(某全国紙の論説委員室もその中に含まれる。)。そのような論者の多くは、新司法試験はなるべく受かりやすくして、法曹人口を増加させることこそ正義であるという完全に間違った思考方法に陥っていた。
 しかし、上記したとおり、合格しやすい試験に合格した弁護士は有能か?という素朴な疑問が湧く。この点は、一定の厳格さが必要であると考えるのがむしろ常識にかなう。つまり、試験に合格しやすくすることによって無能弁護士が増加することはあってはならない。一定の水準を維持することは必須である。
 ところで、新司法試験の合格率は、最初の新司法試験があった年は、40パーセント台であった。しかし、最近では20パーセント台にまで低下している。そのような現象を憂慮する意見も多いが、私は全く憂慮していない。それどころか、合格率は、せいぜい10パーセント台でよいと考えている(ただし、現在あるような受験回数の制限は撤廃すべきである。受験する意欲がある者に対しては何回受験を認めてもよいはずである。)。それくらいの厳しさがなければ、今後ますます無能な弁護士が増加することになりかねないからである。
 一方で、合格者が、合理的理由もなく不自然に激増したことから、新司法試験に合格し、司法研修所を卒業したのに、弁護士事務所に就職ができない弁護士志望の若者が年々増加するという非常に由々しき問題が発生している。その処方箋は、試験の合格者を、当面は半減させるということ以外にない。
 話は変わるが、最近になって、法廷で、法科大学院を経て弁護士となった、若手弁護士に向き合うことがある。ところが、そのレベルは、以前、我々が法曹になった当時と比べると、相当に低下していると感じる。第1に、文章を作成する能力がない。第2に、主要な法律の内容をよく知らない。第3に、書面の内容に説得力がほとんどない。実に惨憺たるものである。
 そのくせ、新人弁護士の自己紹介などを見ていると、ゴルフを早くうまくなりたいとか、趣味に時間を割きたいとか、実に志がない若手弁護士が増えている。大体、弁護士1年生の身分で、ゴルフを上達させたいというようなことを本気で考えている者がいたとしたら、それは論外である(そのような者はさっさと弁護士を辞めた方がいい)。まずは、法律と実務を学んで、早く一人前になるのが先決ではないのか。
 ただ、このような弁護士は、反対に、表面的な人当りは悪くはなく、客(依頼者)あしらいは結構うまいのではないかとも思われる。経営能力は別ということである。したがって、本来は法曹不適格者であっても、将来、弁護士として生活をしてゆくことは可能であろう。
 ただし、そのような状態が現実のものとなることは、一般国民にとっては実に迷惑な話である。そこで、法曹資格を得るための新司法試験は、厳格な水準を保つ必要がある。その代わり、難関の新司法試験に合格した者については、経済的なことに余り煩わされることなく、じっくりと実力を涵養する時間と機会・場所が与えられる政策を実現する必要があると考える。 
                       

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