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弁護士日記

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公人としての自覚のない市長はダメだ

2019年08月09日

 報道によれば、埼玉県の幸手市長である渡辺邦夫氏は、本年8月7日の未明、広島市内の飲食店で店の従業員に暴力を振るったという理由で逮捕されたが、現時点では釈放されたと聞く。
 その渡辺市長であるが、「暴力は振るっていない」と容疑を否認しているという。
 これまでに私が各種の報道から得た情報は、次のようなものである。
 第1に、渡辺市長が、なぜ広島市に来たのかである?原爆の平和記念式典に出席するため、地元の中学生を伴って広島市に来たという事実がある。当然に、公務として来ていた。
 第2に、式典が終わってから、渡辺氏は、同行した事務局の市職員と夕食を共にしている。また、職員と一緒に二次会にも行ったと聞く。二次会が終わって、渡辺市長を含めた大人たちは、宿舎であるホテルに戻った。ここまでは、特に問題はない。
 問題は、その後の渡辺市長の行動である。市長の逮捕を受けて、急遽記者会見した副市長の話では、渡辺市長は、「喉が渇いたので、ジュースを買ってくる」と言って、宿舎であるホテルを一人で出て、かなり離れた今回の事件現場である雑居ビルに行った。
 そこで、未明に一人で酒を飲んでいたが、料金(6万円請求されたようである。)の支払いを巡って飲食店の従業員とトラブルになり、今回の事件を起こしたようである。
 ここで、まずおかしいと思うのは、ジュースを買いに行くため、なぜ宿舎であるホテルを出る必要があったのか、という点である。今や、普通のビジネスホテルでは、内部に自販機が何か所も設置されている。本当にジュースが飲みたかったのであれば、ホテルの中で買えばよかった。
 したがって、「ジュースが飲みたい」というのは、単なる口実にすぎなかったと考えられる。本心は、一人で酒を飲みたかったということで間違いなかろう。
 しかし、仮にそうだったとしたら、別の問題が起こる。第3に、渡辺市長は、埼玉県から広島県まで公務を果たすために来ている。個人として楽しむために来たのではない。
 そう考えると、深夜に、不案内な街において、責任ある立場の者が、深酒をするためにふらふらと外出すること自体が、許されないということになる。市長の行為は、少なくとも、相当性を欠く行為であったと言える。
 仮に、渡辺市長が。たまたま入った飲食店が「ぼったくりバー」であったとしても、だからといって市長の責任が軽減されることにはならない。実に軽率な行動をとったものである。
 私だけが感じていることかもしれないが、地方の市長には、ときどき心得違いを起こしている人物がいる。公用車として、高価なテスラ社の電気自動車を導入しようとした市長などがその典型である。
 人間誰しも、権力を握った状態が長年継続すると、その権力を手放すことが惜しくなる。もうろくして認知症寸前の状態に至っても、いつまでも権力者の地位にしがみつこうとして、醜態をさらす危険がある。
 もちろん、賢い人物は、「引き際」というものを心得ており、そのようなことはないと思うが、実際には、愚か者の老人の方が多いように見える。

日時:14:41|この記事のページ

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